救急救命の詳しい方法・注意点(交通事故・災害など)

倒れている人(傷病者)を発見したら、まず周囲の状況をよく観察する。
事故発生時の状況、事故の原因、二次事故の危険性、傷病の原因、証拠物などについて注意する。
特に、周囲の状況が悪い時には、傷病者および救助者自身の安全を確保し、
しかも十分な応急手当てを行うために、安全な場所への避難を優先させる事
(夜間の事故、交通事故、酸素欠乏、有毒ガスのあるところ、崩壊した建物のそばなど)もある。
危険で傷病者に近づけない時は、直ちに救急隊(119番)に連絡する。
応急手当てを行う前には、傷病者の状態をよく調べなければならない。よく見て、話しかけ、直接触れてみる。
どんな場合でも、全身を観察する事が大切である。
特に、心肺蘇生法が必要な意識障害、呼吸停止、心臓停止の判断を下すために、
● 意識があるか
● 呼吸をしてるか
● 脈拍はあるか
などを、よく調べる。
意識がない場合は、気道閉塞、呼吸停止、心臓停止の疑いがある。
速やかに心肺蘇生法を行うために、まず意識の有無を確認する。
@ 救助者は、傷病者の片側、肩のあたりに位置して、膝をつく。
A 「大丈夫ですか」などと声をかけ、傷病者の肩を数回たたく。
【注意事項】
◆ 傷病者の身体を乱暴にゆすってはいけない。
◆ 確認の結果、反応がなかったり鈍い場合は、気道確保を行う。

気道確保は、空気が肺まで楽に通るように、気道のつまった状態を除く方法で、
心肺蘇生法の中で最も重要な、基本手技である。
意識がなく、呼吸もできずに死亡する例の中には、気道の確保ができていれば助かったと思われる例も少なくない。
また、気道が開通していなければ、どんなに人工呼吸を行っても効果はない。
呼吸ができるようであっても、意識がない時は、気道を確保した体位を保つ事が必要である。
横向きの体位にすれば、胃の内容物が逆流しても、ひとりでに口の外に流れでやすくなる。
ネクタイ、ベルト等衣服はゆるめ、口の中に入れ歯やチューインガム等があれば取り出す。

頭部後屈とあご先拳上
@ 救助者は肘をついて、手を傷病者の額に、他方の手を下あごの先にあて、
  下あごを押し上げるようにして、頭を後方に傾ける。
A 額にあてた手で、頭が動かないように、しっかり押さえる。
【注意事項】
◆ 力を入れ過ぎると、かえって頚椎を傷めたり、空気の流れを妨げることもあるので、ていねいに行う。
◆ 下あごの先にあてた手は、あご先の骨の部分だけを支えるようにする。

下あご拳上 この方法は頚椎損傷の疑いがあるときに、とくに有効である。
@ 救助者は、頭側の肘をついて、手の指を外側の下あごの角に、
  両手の親指は口の両側のやや下にあてる。
A 頭を動かさないで、下あごの歯列が上あごの歯列より前方に出て、
  受け口になるように、下あごを前方に押し上げる。
B 唇が閉じているときは、親指で下唇をあける。
【注意事項】
◆ 頭部後屈と組み合わせることもできるが、頚椎損傷が疑われる時は、頭部後屈は行わず、
  下あごの押し出しだけを行う。頭部を左右にも傾けず、注意深く下あごを押し出す。

人工呼吸を必要とするかどうかを判断するために、呼吸の有無を確認する。
@ 救助者は、気道を確保したまま顔を傷病者の胸の方に向ける。
A 胸や胃のあたりが上下に動いているかを見、物がつまったような呼吸音ではないか確かめる。
B 傷病者の吐く息を頬で感じるか確かめる。
心拍が停止し、血液を送り出せない場合、心臓のポンプ作用を維持するため、心臓マッサージを行う。
@傷病者を固い床面の上に上向き、水平位にねかせる。
A救助者は、傷病者の片側、胸あたりに膝をつく。
B救助者は、傷病者の足側の手の人さし指と中指を肋骨の縁に沿って中央部へずらし、
C両側肋骨縁の合流点(剣状突起)をみつける。そこのくぼみに足側の手の中指をあて、
  人さし指を胸骨上に置く。その人さし指に接して、頭部の手のひらのつけねを置き、他方の手を重ねる。
D両肘をのばし、脊柱に向かって垂直に体重をかけて、胸骨を3〜5cm(成人)押し下げる。
E手を胸骨から離さずに、速やかに力をゆるめる。
心臓マッサージは、毎分80〜100回(成人)の速さで行う。
【注意事項】
◆傷病者は、固い床面の上に寝かせる。ベッドなどの柔らかい所であれば、
  傷病者の胸部より広い板を背中の下に敷き込む。
◆救助者は、圧迫点がからだの中心線上に、両肩が胸骨の真上にくるようにする。
◆剣状突起を押さないようにする。
◆胸骨上に置いた手の指先に、力を加えないようにする。
◆腕の力で胸骨を押すのではなく、上半身の体重を利用して胸骨を垂直に押し下げる。
◆圧迫点の位置が高すぎると、直接胸骨そのものを骨折し、位置が低すぎると、
◆剣状突起による上腹部の内臓損傷や胃内容の逆流なども起こるので注意する。



心臓マッサージと人工呼吸の組み合わせ(訓練を受けた救助者が2人以上の場合)

心肺蘇生法を効果的に行うために心臓マッサージと人工呼吸を組み合わせて行う。
救助者が1人で心肺蘇生法を行わなければならない場合があるので、
1人で心臓マッサージと人工呼吸の両方を行えるようにしておくことが必要である。


救助者は最初の2回の吹き込みの後、脈拍の有無を確認する。
脈拍がなければ、直ちに心臓マッサージを15回行う。
気道を確保し、人工呼吸を2回行い、再び心臓マッサージを15回行う。
以後、これを繰り返す。

脈拍の確認は心臓マッサージ開始後、1分以内に必ず行い、その後は数分ごとに1回行う。
【注意事項】
脈拍の確認は、1回あたり5秒を超えないようにする。
吹き込みは、胸のふくらみを見ながら静かに大きく連続して2回吹き込む。
救助者が2人の場合
訓練を受けた救助者が2人以上の場合は、心臓マッサージと人工呼吸を分担することによって、
  心肺蘇生法を効率よく行うことができる。
救助者Aは、意識の確認、気道確保、呼吸の確認、人工呼吸、脈拍の確認を行う。
救助者Bは、救助者Aの上記の動作実施中に、救助者Aと向かい合い、傷病者の胸のあたりにあらかじめ両膝をついて位置する。
救助者Aは救助者Bに「圧迫準備」と声をかける。
救助者Bは、圧迫点を探し、圧迫の姿勢をとる。
救助者Bは、救助者Aの「脈なし、圧迫開始」の指示があったら、毎分80〜100回の速さで「1、2、3、4、5」と声を出しながら圧迫する。
救助者Aは救助者Bの5回目の圧迫の力を抜き始めた瞬間にすばやく1回息を吹き込む。
救助者Bは、傷病者の呼気が終わるのを待たずに圧迫を始める。
救助者Aは、脈拍の確認を心臓マッサージ開始後、1分後に行い、その後は数分ごとに1回行う。
確認の際は、救助者Aは、救助者Bに対し圧迫を中断するよう指示する。
【注意事項】
救助者Aは人工呼吸の合間に適宜脈拍を調べてみて、救助者Bの圧迫の効果がなく、脈拍がふれないときはそのことを伝える。
救助者Bは、押す位置や力などを変えてみる。

救急講習の種類

旭川の救急講習会を掲載しています。あと赤十字主催の講習会もあります。
他の地域は、もよりの消防署.赤十字にお問い合わせ下さい

1 一般救急講習(3時間未満)  
肺蘇生法、出血時の止血法、その他の救急処置要領など   
※旭川市総合防災センター(東光27条8丁目)では、定期的(毎週木曜日 14時〜16時)に  
救急講習会を実施しています。    詳しくは、旭川市総合防災センター受付までお問い合わせください。(TEL 33−0119)
2 普通救命講習(3時間)  
心肺蘇生法(成人)、大出血時の止血法、対象者によっては小児・乳児に対する心肺蘇生法を加える。  
※ 修了証を発行します。
3 上級救命講習(8時間)  
心肺蘇生法(成人)、大出血時の止血法、傷病者管理法、外傷の手当、搬送法  
※ 修了証を発行します。  
※ 上級救命講習につきましては、一般公募での開催となっておりますので、御了承ください。
  ※救急講習の受講には、申請書が必要です。   
また、都合より希望日に実施できない場合がありますので、
申請書を提出する事前に消防本部指令課に連絡をいただき、日程調整を行ってください。   
実施希望日につきましては、第3希望まで予定していただきたいと思います。
主に、救急法講習に参加した事がない人、
やり方は知っているけれど自信のない人、
参加したことはあっても忘れてしまった人、
やはり他人の口に口をつけたくはない人、
この指針の但し書きには、この手法が、乳児、小児、には向かないこと。
倒れているのが発見されるまで時間がかかっている大人にも向かないこと、
また水の事故<おぼれ>や薬物に関係する呼吸停止、心停止にも適さない事が添えられています。

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