新興社交舞踏教程 昭和9年発行2円80銭
70年前のダンスの本現在にも通用する事が書いてありますので
掲載します。プロ又はアマのサークル持っている人が読むと「ふーん」と感心するかも
ダンスの教授法というよりも人間観察、心理学の本のよう、社交のダンス(^O^)
2章アマチュア教授法に書いてあること、確かに・・教室で習った事がある生徒なら、心当たりが(^_^;)
70年前にイギリスでは、ダンス学校があり子供にも教えている、本家の歴史か・・
昔のは読みづらいとパートナーが云うので(-_-;)・・現代語に直してみました。読み易くなった(^O^)

第二章 アマチュア教授法 第3章 研究生(プロの心がけ) 第4章 クラス(サークルに応用)
第一章(現代語に変換)
(A)概説 (B)競技参加者 (C)專門家
(A)概説
成功する教師の第一条件は、教えると云う事、それ自身を愛する
気持であるが、まだこれのみでは充分とは云えない。教師は
教材を内面的にも外面的にも徹底的に知らなければならない。
そしてそれを解剖し、或いは総合出来なければならない。各ダンスに
就いても、その基本ステップから最近のヴァリエイションに至る
まで精通しておらねばならず、また如何にしてそのダンスが発達
したか、進んでは如何にしてその未來を予測し得るかに就いても
定見を持ち、更にこれ等すべてに加えるにテクニックの徹底的な
把握を必要とするものである。
その上は生徒の心理をよく理解し、同情と忍耐とを以って一人一人を
その個人的な要求に応じて導いて行かねぱならない。
むしろ賢明なる教師は、各生徒から何事かを教えられると言って
良いのである。
ボール・ルーム・ダンスの教師は、ダンスそれ自身が生きもの
であり・叉それ故に絶えす変化するものであるから、これを例え
れば数世紀間少しも変化しないラテン語を教える古典学者という
よりは、時代と共に並行して進歩しなければならない医者に例えられる
時代と共に進むという事は難しい間題で、これを守って行く為
には絶えざる勉強が必要である。
教師は、その教授に就いて充分に信用出来る根拠、
例えば基礎の確実なソサェテイの技術講習会(technical school)
叉は講演、或いは著名な、プロの教師等から学ぶべきである。
もし読むならば、普通の新聞雑誌に云われている事などを
そのま々当てにしたりせずに、公認のダンス誌や定期刊行物
に載せられている記事のみを信ずるようにしなければならない。
上述の諸点に就いての詳細は後章に於て述べる事とする。
それ等を読む前に、教授所の所長及び将來、自身の教授所を設立
しようと熱望されて居る方々は、次の提言を是非読んでいただきたい。
適当な場所に出来る限り条件の良い建物を求め、それが常に
人目を惹くかどうかという事にも注意しなさい。
すぺての生徒が氣持よい待遇を受け、氣樂に過せるという感じ
を持つように、すべての準備を整えること。
職員と研究生との選考に注意を払って下さい。一人の感心出來
ない人物は、教授所の非常な迷惑となるから、職員の誠実を
重んじ、万一不誠実を見つけたら二葉の中に不誠実者の一
芽を摘み取り叉同時にその原因を探求して救済方法を講じて
下さい。職員も研究生も経済の許す範囲に於て出來る限り
スマートに、かつ身だしなみもきちんとしていて欲しいものである。
スクール・ダンス、お茶及び晩のダンスに於ては、お客様の接待
をよくし適当に紹介するという事に注意しなげれぱならない。
職員に一番上手な踊手である客を決して独占させてはならない。
下手な人程優れた助力と誘いかけを勧めることが必要なのであるから。
音樂は蓄音機であろうと、ピアニストのであろうと、叉はバンド
によるものであろうと、何れにせよ第一流且つ時勢に後れ
ぬものであるように心掛けるように。ダンス・ミュージック
のリズムとスタイルは始終少しづつ変って行くものであって、
それにつれてダンスのスタイルとムーヴメントも変って
行くのである。
(B)競技参加者
競技参加者はアマチュア(素人)とプロフエツシヨナル(專門家)
とを問わず、これを二種に分ける事が出來る。
第一は真面目にコーチを受けたいと望んでいる人、第二はほん
の一、二回、単にその教師が競技会の審査員であるという理由から
教授を受けに來る者である。後者の組は大低自分のダンスにすっ
かり満足し切っている手合いであるから、たとえ彼等にとってそれ
がどれ程必要な事であろうとも、教えられる事など一切耳に入
れない連中である。
前者は最も教え甲斐のある人々であって、これには次のようなコ
ーチの方法が最も有効だろう。
(1)・主要な欠点を挙げて頭の中で表につくれる迄、踊っている
   のを途中で干渉せずに見ている事。
(2)、これらの欠点に対する矯正法のプランを、第二部第一章〔37
   -40頁〕に用いられている順序に基づき、一定の順序に從って
   立てる事。
(3)一度のレツスンに、あまり多くを矯正しようとしてはならない。
   レッスンとレッスンの間に行う実習で、丁度、具合よく呑み
   込んで覚える事が出來る程度にする事。
(4).出來る限り多く実習の機会を与える事。
(5〉各自のバァトナーを代る代る取換えてみることによって、
   彼(叉は彼女)のパァトナーの欠点をどうしたら補って治して
  てやる事が出來るかという事を示す事、叉一人のパァトナーの
  欠点と思われるものは、又他の人にも共通の欠点であると
  いう事を常に解らせる事。此の場合彼等の間に軋櫟を起さ
  ぬように注意する事。鋭敏な非常に輿奮した二人の踊手同志が
  寄ると、どうしても神経過敏になって、お互を悪く言い合い易い
  ものである。
(6) 一人一人のバァトナーがそれぞれ違った踊手と踊れるよう
  にする事。それと同時に一人が間違った所を、他のパァトナー
  達にも指摘して説明する事。
(7).使用ステップに関しては、あまり度はづれに複雑な入り組
  んだものや、突飛なものを許してはならない。最初は一般公認の
  ヴァリエィションの範囲に限り、これらが完全に出来た時に、
  初めて更に進んだものを許すべきである。と同時にあまり紋切
  型の変化のないものにしてしまってもいけない。個性を尊重し
  てこれを発揮させ、各自が最も巧く踊れる、又その人柄、背丈
  等々に最も相応しいアマルガメィションを選考させる。
(8〉カッブルの自信を挫く事のないようにする事。出來るならぱ
  励まして教え導き、最後の稽古としては小競技会に出して観
  衆に馴れさせ、更に出來るならばスクール・ダンスに於て単独
  に踊らせる事が大切である。
(9)。最後に、たとえ競技には負けても見苦し<ない踊手
   立派な敗者であるように仕込む事。
(C)専門家
これにも亦二種類ある。第一は技術とか公演に出る為めに自分
達のダンスを矯正し上達させるために來る者・第二は最近の新し
いヴァリエィションや教授要目の変化等を知るために來る教師達
である。
後者に採るべき手段に就いては第四章、「教師週間」の説明のと
ころに論じてある。彼等に対する個人教授の場合も、一自然もっ
と詳細にわたることは云うまでもないが、これと同じ順序で
教授する事が出來るのである。前者に就いて云うならぱ、大体
に於ては競技参加者のために概略述べた方法と同じものを適用す
る事が出來る。但し專門家である限り迅速に進歩する必要と、も
っと念入りに作ったプログラムによる必要はあるけれども。更に
もしこれがデモンストレイションの準備教育をする場含であった
ならば、必ず一定の既定法式(routine)を定めておいて、これを
踊るように主張すべきである。そしてこれ等は詳細にわたって音樂
の第一小節より最後に至るまで作り上げ、それを音樂に合うよう
にアレンジし、それぞれ適当なフィガー及びムーヴメントをフレイ
ズするようにしなければならない。叉出場と引込みの練習に充分な注意
を払っていただきたい。そしてカップルがデモンストレイション
を行っている間中、愉快そうに見えるように注意していただきた
い。出の時の恥じ入ったような恰好や、ぎこちない不馴れな引込
み、しかつめらしい渋面は絶対にいけない。
教授法(原文)
第一章
(A)概説 (B)競技参加者 (C)專門家
(A)概説
成功する教師の第一條件は、教へるといふ事それ自身を愛する
気持であるが、まだこれのみでは充分とは云ひ難い。教師たるも
のは教材を内面的にも外面的にも徹底的に知らなげればならぬ。
而してそれを解剖し、或は綜合し得なければならぬ。各ダンスに
就いても、その基本ステツブから最近のヴアリエイシヨンに至る
まで精通してをらねぱならす、また如何にしてそのダンスが発達
したか、進んでは如何にしてその未來を豫測し得るかに就いても
定見を持ち、更にこれ等すべてに加ふるにテクニツクの徹底的な
把握を必要とするものである。
その上は生徒の心理をよく了解し、同情と忍耐とを以て一人一
人をその個人的な要求に応じて導いて行かねぱならない。
寧ろ賢明なる教師は、各生徒から何事かを教へられると言つて
よいのである。
ボール・ルーム・ダンスの教師は・ダンスそれ白身が生きもの
であり・叉それ故に絶えす変化するものであるから・これを警へ
れば数世紀聞少しも変化せぬラテン語を教へる古典學者といはん
よりは、時代と共に並行して進まねばならぬ医者に喩えへられるで
あらう。
時代と共に進むといふ事は難しい間題で、これを守つて行くた
めには絶えざる注意が肝要である
教師たるものは、その教授に就いて充分に信用し得べき根拠、
例へば基礎の確実なソサェテイの技術講習会(technical school)
叉は講演、或ひは著名の、而もテスト済みの教師等から學ぶべき.
である。もし読むならば、普通の新聞雑誌に云はれてゐる事など
をそのま々當にしたりせすに、唯だ公認のダンス誌や定期刊行物
に載せられてゐる記事のみを信ずるやうにしなげればならぬ。
上述の諸点に就いての詳細は後章に於て述べる事とする。
それ等を読む前に、教授所の所長及び将來自身の教授所を設立
せんと熱望されて居る方々は、次の提言を是非読んでいただきた
い:一
適當なる場所に出來る限り絶好の建築物を求め、それが常に出
來る限り人目を惹くか何うかといふ事にも注意されたい。
すぺての生徒が氣持よい待遇を受け、氣樂に過せるといふ感じ
を持つやうに、すべての準備を整へること。
職員と研究生との選考に注意を沸つて下さい。一人の感心で來
ない人物は、教授所の非常な迷惑となるから、職員の誠実を
重んじ、萬一不誠實を見出したならば二葉の中に不誠實者の一
芽を摘み取り叉同時にその原因を探求して救済方法を講じて
下さい。職員も研究生も経済の許す範囲に於て出來る限りス
マートに且つ身装もきちんとしてゐて欲しいものである。
スクール・ダンス、お茶及び晩のダンスに於ては、お客様の接待
をよくし適当に紹介するといふ事に注意しなげれぱならぬ。
職員に一番上手な踊手である客を決して濁占させてはなら
ぬ、下手な人程優れた助力と慫慂が必要なのであるから。
音樂は蓄音器であらうと、ピアニストのであらうと、叉はバン
ドによるものであらうと、何れにせよ第一流且つ時勢に後れ
ぬものであるやうに心がげられたい。ダンス・ミュージツク
のリズムとスタイルは始終少しづつ変つて行くものであつ
て、それにつれてダンスのスタイルとムーヴメントも変つて
行くのである。
(B)競技参加者
競技参加者はアマチユア(素人)とプロフエツシヨナル(專門
家)とを間はす、これを二種に分ける事が出來る。
第一は眞面目にコーチを受けたいと望んでゐる人、第二はほん
の一二回、単にその教師が競技会の審査員であるといふ理由から
教授を受げに來る者である。後者の組は大低自分のダンスにすつ
かり満足し切ってゐる手合いであるから、たとへ彼等にとつてそれ
が何れぼど必要な事であらうとも、教へられる事など一切耳に入
れない連中である。
前者は最も教へ甲斐のある人々であつて、これには次の如きコ
ーチの方法が最も有効であらう。
(1)・主要な欠点を挙げて頭の中で表につくれる迄、踊つてゐる
  のを途中で干渉せすに見てゐる事。
(2)・此等の欠点に対する矯正法のプランを、第二部第一章〔37
  -40頁〕に用ゐられてゐる順序に基づき、一定の順序に從つて
  立てる事。
(3)一度のレツスンに、あまり多くを矯正しようとしてはなら
 ぬ。レツスンとレツスンの聞に行ふ實習で、丁度具合よく呑み
 込んで覚える事が出來る程度にする事。
(4).出來得る限り多く實習の機会を興へる事。
(5〉省自のパァトナFを代る代る取換へてみることによって、
 彼(叉は彼女)のパァトナーの欠点を何如にすれば補って矯め
 てやる事が出來るかといふ事を示す事、叉一人のパァトナーの
 欠点と思はれるものは、事実又他の人にも共通欠点であると
 いふ事を常に了解せしめる事。此の場合彼等の間に軋櫟を起さ
 ぬやうに注意する事。鋭敏な非常に輿奮した二人の踊手同志が
 寄ると何うしても神経過敏になつて、お互を悪く云ひあひ易い
 ものである。
(6) 一人一人のバアトナーがそれぞれ異つた踊手と踊れるやう
 に計ふ事。それと同時に一人が間違った所を、他のパァトナー
 達にも指摘して説明する事。
(7).使用ステツプに関しては、あまり度はづれに複雑な入り組
 んたものや、突飛なものを許してはならぬ。最初は一般公認の
 ヴァリエィションの範囲に限り、これらが完全に出来た暁に、
 初めて更に進んたものを許すべきである。と同時にあまり紋切
 型の変化のないものにしてしまつてもいけない。個性を尊重し
 てこれを発揮させ、各自が最も巧く踊れる、又その人柄、背丈
 等々に最も相応はしいアマルガメィションを選考させる。
(8〉カツブルの白信を挫く事のないやうにする事。出來得るならぱ
 激働を以て教へ導き、最後の稽古としては小競技會に出して観
 衆に馴れさせ、更に出來得べくんばスクール・ダンスに於て単
 濁に踊らせる事が大切である。
(9)。最後に、たとへ競鼓には負げても見苦し<ない踊手−一立
 派な敗者であるやうに仕込む事。
(C)専門家
これにも亦二種類ある。第一は技とか公演に出る為めに自分
達のダンスを矯正し上達させるために來る者・第二は最近の新し
いヴアリエイシヨンや教授要目の変化等を知るために來る教師達
である。
後者に採るべき手段に就いては第四章、「教師週間」の説明のと
ころに論じてある。彼等に対する個人教授の場合も、一自然もつ
と詳細に亙ることは論するまでもないが、一一これと同じ順序で
教授する事が出來るのである。前者に就いて云ふならぱ、大体
に於ては競技参加者のために概略述ぺた方法と同じものを適用す
る事が出來る。但し專門家である限り迅速に進歩する必要と、も
つと念入りに作つたプログラムによる必要はあるげれども。更に一
もしこれがデモンストレイシヨンの準備教育をする場含であつた
ならば、必ず一定の既定法式(routine)を定めておいて、これを
踊るやうに主張すべきである。そしてこれ等は詳細に亙つて音樂
の第一小節より最後に至るまで作り上げ、それを音樂に合ふやう
にアレンヂし、それぞれ適當なフイガ及びムーヴメントをフレイ
ズするやうにせねばならぬ。叉出場と引込みの練習に充分な注意
をはらっていただきたい。そしてカツプルがデモンストレイシヨン
を行つてゐる間中愉快さうに見えるやうに注意していただきた
い。出の時の塊ぢ入つたやうな恰好や、ぎごちない不馴れな引込
み、しかつめらしい澁面は大禁物である。

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