第四章
クラス
(A)概読       (B)專門家
(C)アマチユア     (D)児童
(A)概読
上手に個人教授をする事も難しいには違いないが、クラスを教
える事はさらに難しいものである。クラスではどの教師も
あらゆる異ったタイプの生徒を巧くクラスに編成し、そのクラス
を幸幅に皆が満足するようにする為めにはあらゆる智慧を絞って
も足りない位である。どのクラスでも成功の秘訣は、一言にして
いうならぱ、クラスが幸幅で氣持よく行くということにつきる。
これには二つの意味がある。第一にクラスは全体がその進行に対して、
満足していなければならないし、第二には各個人個人が
自分自身エンジョイしていなげればならない。然しこれはクラス
全体の進歩というものが、生徒の才能の平均によって制限されるも
のであるから、一寸到達するに難しい間題かもしれない。教師
は遅れ勝ちの生徒が、焦慮して藻掻かないように、出來の良いのが、
損をしていると、うっとうしく感じないように注意することが必要である。
教師としてクラスを作ら無くても成功する事は不可能な事ではない。
然し、多くの弟子はプライベイト(個人教授)よりクラス
の方を好むから所長としてはこれを教授所のプログラムから削除
する事の出來る人はないであろう。叉自己満足の点から考えても、
クラスが次第に進歩して行って、殆ど独りでに上達して行くのを
見る事程嬉しく満足感を味える事は無いのであるから。次に掲げ
るのはクラスを教える上で大切にしなければならない範則の摘要である。
(1) 貴方の助手に(もしあったら)弟子を賞める時以外、
   決っして大声で批評する事を許してはいけない。
(2) 助手達が傍で立って見ている時、一団に固まって如何にも
   比評でもしているように思われないように注意する事。
(3)ボール・ルームの鏡は、苦い表情を逃さず写し出すものだ
   という事を忘れてはならない。
(4).不良パァトナーを入れてはいけない。
(5)誰にでも一晩中一人の下手なパァトナーとのみ踊らせない
   ようにする事。
(6)自分が踊って見せる時間をあまり長くとらない事。
(7) 生徒が覚えられないような難しい複雑なステップを教えて
   物識りぶらない事。
(8)依古ひいきをしない事。
(9).何よりも先づ貴方自身を笑う時以外あまりユーモアの気分
   を表し過ぎてはいけない。笑談はよろしい、然し生徒に対しては
   禁物である。
クラスの実際授業に対する注意
(a).「スクウェア」法によつて最初教えなさい。生徒にはその方が
   易しく思われるから。
(b).一クラスに男女同数居るならば、ステップは男は男の、
   女は女のと別々に教えなさい。然しもし、よくあるように、女子
   の方が多かった場合には先づ男子のステップをクラス全体に
   教え次に女子のみに女子のステップを教えなさい。もし誰か「男」
   になって踊らなければならない婦人が居たら休憩毎に
   その組を作ってやるようにしなければならない。
(C).クラス全体に各ステップを最初は一人で、次にバァトナー
   同志手を肩に掛けて、その後に正しくホールドして教える事。
(d).はじめ音樂無しで教え、次に遅いミュージツクにし、
   次に初めて正しいテムポのミュージックにする。一人で踊っている
   生徒に貴方がステップを教える時でも、生徒がパァトナーと
   踊っている時でもこれを適用しなさい。
(e).貴方のステップ教授法を前述の第二部第一章〔37-40頁〕
   に於て略示した順序に分割して下さい。
(f).第二期になるまでスウェイやライズの心配をしなくともよろしい。
   叉あまりC.B.M.を重大視してはいけない。ただ単にターン
   をする場合、足でするのではなく、身体全体で始めるべきだと
   いう事を説明すればよろしい。
(9).アマルガメイションの幾組かに基づいてプログラムを立案
   して下さい。それぞれのステップのみでは到底、如何なる人
  もダンスすることを習得する事は出來ない。叉生徒達にも自分自身で
  自分のアマルガメイションを編成する事を学ぶべきであ
  ると説明しなさい。
(h).バランスは一番大切であるけれども、クラスが余りにこれ
   に煩はされないようにしないといけない。これは極めて巧みに
   殆ど生徒の氣付かないうちに教えられなければならない。
   もし一人の生徒のバランスが非常に悪かった場合は、
   その人だけに少しばかり特別教授をすることをお勤めする。
(i).多くの場合クラスは十課連続になっている。第一課が終了したら、
   残りの九課にて何を教えるかを決定するようにする。
   然し一つのダンスを正確に教え込む方が中途半端に
   五つ教えるより遙かに優っているのであるから、これを決定するには
   慎重に控え目にする事。
(j).ステップを教えた順序を正確に覚えている事、そうすると
   次の学期に楽である。
(k)。パァトナーをつとめる貴方の助手と生徒とが一番よく合う
  ように引合せ、一人一人の生徒が個々に行届いた注意を受ける事が
  出來るように注意する事。
(1).自分の仕事を全て辮へ、職員達がよく心得ている一定の
  既定法式(ルーチン)に従ったデモンストレイションのみ行うこと。
(m).時には生徒の中から一人を指名してステップを演らせるとよい。
  それは生徒を一寸得意にし、他の生徒にもステップは自分でも
  踊れるものである事を示すものである。、
(n).少しダンスを行ってはクラスを始めるようにしなさい。
  そうすると生徒は床と音樂の感じをとらえる事が出來るから。
(o).時間に遅れないで授業をはじめなさい、毎日のプログラムの終りに
  なって大急ぎで慌てて教えないで済み、全部行渡るようにする事。
(B)事門家のクラス
ー般に教師は流行を知ろうとし、時勢に後れないために勉強す
るのであって、これらのクラスは多くの場合・・Teachers Week"
即ち、五科目を五日聞に仕上げる「教師週間」に教授するも
のである。
教師週間の五日間の爲に最も適当なプログラムは下の通りである。
第一日  三十分、フオックス・トロツトのシラバス(教授要目);
      一時間 ・フオックス・トロツトのヴアリエイション;
      三十分、クラッシュ・ダンスの基本ステップ。
第二日  三十分、タンゴのシラバス;
      一時間、タンゴのヴアリェイション
       三十分、クラツシュのヴアリェイション。
第三日 三十分、クヰック・ステップのシラバス;
   一時聞半、クラツシユを含むクヰック・'ステップのヴアリエイション。
第四日  三十分・ワルツのシラバス;
       一時間、ワルツのヴアリエ.イション
       ;三十分 ブルース。
第五日   残りの二時間は來るべきシーズンのための新しいダンスと
    何か最近の変化について使用するべきである。
各ダンスを教えるのに新しいフィガ−や、ヴァリエイションに進.む前に
ざっとで良いからスタンダードな基本ステップの復習から
始めるのが最上の方法である。多くの教師はノートをとる時間
を与えられるのを喜ぶ。故に重要な点に特に力を入れる事はステヅプの
簡単な説明を書取る時が便利である。このようなクラスでは助手は.
自分達より遙か多くの経験を持っているに違いない教師を
教える手助けをしているのであるから.、巧みに人の氣をそらさず
充分に彼等の役に立つようにし、彼等が自分達より先輩である事を
忘れないように教え込んで置かなけれぱならない。
此の教師週間の課業のプログラムは充分に教師達の希望に添う
ような注意の下に選択されなければならない。
(C)アマチュアのクラス
次の注意書は第一期の課業にのみ適用されるものであって、
第二期にはもっと進んたヴァリエイションを.充分進歩を途げた
生徒に教えてもよい。
クラスを十科の連続に割当てて下さい。有益で効果ある時間割
を次に示すと。
一般ダンス      五分間
クヰツク・ステツプ  十五分間
ワルツ         十分間
ニュウ・ダンス或はブルース 十分間
ダンゴ               十分間
スロウ・フオックス・トロツト   十分間    
多くの教師は一時間の授業の後はダンスを続けられるように
準備するものであるが、もし不可能の場合は、そのクラスのために、
一時間以上を許し、授業と授業の合間に一般ダンスをさせる事。
十課の中の第一期に於ては次のもののみを教える事を目的とする事、
即ち第一期に於ては、一般的な進歩を目標とするのが良い。
そのように教えると、このクラスはもっと難しいヴアリエイションや
ライズやスウェイ等々を教える事の出來る第二期のために
すぐれた基礎をつくる事が出來るだろう。(注意一スロウ・フオ
クス・トロツトは他のものよりも專門的なダンスであるから、
最初から詳細にライズ等も教える方が良い方法である。)
クヰツク・ステツブ−−クォーター・ターンズ−−ナチュラル・
ピヴオット・ターン→クロス・シヤッセ→リヴァース・ターン
→ジグ・ザグ。
ワルツ−−ダイアゴナル・フル・ターン→ハーフ・ターン→
  サイド・チエンジ→バツク・パッシング・チェンジ→アウトサイド・チェンジ
  →普通のヘジテイション。
ニュー・ダンス−−ー(或はプルース)
タンゴー・アマルガメイション;左足よりはじめ→ウォークニ歩→
   プログレシーヴ・サイド・ステップ→ウオークー歩→
   オープン・リヴァース・ターンの前半→一歩後退→ロック→
   オープン・フイニッシュ一歩前進→普通のプロムナード→
   左足前進・右足を合せる→もしコーナーならばライト・ターン
スロウ・フオックス・トロット  フェザ,一→スリーステップ
     から「続けて」ナチユラル・オーブン・ターンに入るもの。
     及びフェザーから「続けて」リヴアース・ウエィヴ、そして
     コーナーでオープン・ターンに入るアマルガメイション。
どのクラスでも次の稽古に進み、新しいものを付け加える前に、
前の所を簡単に復習する事。第十課(最後)にはライズとかスウェイは
何を意味するかを演って見せるがよろしい。そして難しい
ヴアリエイシヨンも二三見せる事。もし第二期に続けて進むようだったら、
新入生を仲聞に入れないようにする。然しもし
そういう新しい人が出席しなければならない場合には出來る限り
早く特別教授をして早く追いつくようにしなければならない。
(D)児童のクラス
次に個人教授及び学校若しくは宗教学校(COnVentS)の授業に
於げる子洪のためのクラスに就いて述べよう。
これには重要な注意しなければならない事がある。即ち「肉体的及
び知能的に制限されている以上の無理な事を子供にさせてはならない
優秀な子供のクラスをつくる為に極めて重要な
二つの要素がある。(1)両親の氣をそらさぬ世才、
             (2)子供好き。
第一は自ずから説明がつく、第二は何故かというと、子供とい
うものは非常に感受性が強いから子供を好きな人と嫌いな人を
すぐに見別けるものである。故にもし子供が先生を好いたならば
効果も早く、よい結果を得られるでしょうし、叉クラスの秩序を保ち
生徒の興味を繋ぐ事も出來るでしょう。
注意するもう一つの点は
  子供は一般に模倣によって覚えるものであるから、
  特に正しく演って見せる必要がある。
  一寸した不注意の間違いでも直ぐにクラス全体にそのまま覚えられ
  てしまう。子供のための授業は長くしてはいけない。年齢の少けれ
  ば少い程時間を短くしなければならない。
クラスを樂しいものにし、叉変化に富んだものにする事が大切である。
次に掲げたのは子供のクラスの四学級を教える為の実際授業の要領である
(注意−一子供の授業の目的は踊手になる事ではなく、
むしろムーヴメントの優美さと、よいスタイルの涵養にある。
幼稚科
ポルカ
クヰツク・ステツプ−−ーウォーク、クォーター・ターンズ及び
      ライト・ビヴオット・ターン(注意一プル・ステップが難しいため、
      ライト・ターンよりライト・ピヴオット・ターンの方が
     易しいからである。それに幼稚者はダンシング・サンダルの踵
     を使ってはいけない。)
ワルツ−−−ニつのサイド・チェンジとライト・フル・ターン。
中級科
クヰック・ステッブ−クオーター・ターンズ、→ライト・ピヴオット・ターン
             リヴアース・夕ーンークロス・シヤツセ。
ワルツーフル・ナチュラル・夕ーンーフル・リヴァース・ターン
      を前進のサイド・チェンジによって連結する。一チェンジ
      によって連結されたハーフ・ナチュラル及びリヴアース・ターン。
上級科
クヰック・ステップー中級と同様。但しこれに普通のジグ・ザグ
      並びにクロシング・フイニツシュで行ふジグ・ザグ及び
      クロス・ビハインド・ステッツプを加える。
ワルツ→中級と同じものにナチユラル・スピン・ターン及び
        アウトサイド・チェンジとヘジテイションを加える。
スロウ・フオックス・トロツトーフエザ−−右足の前進スリー・ステップ
             から「続けて」ライト・オープン・ターンヘ入る。
タンゴ一特に要求された場合のみに、然も研究科(Finishing
C1ass」としてのみに限る(下記参照)。
(注意一多くの學校は、特に宗教学校では、タンゴは特種なものと
考えられている。クラスに入れる前に校長の許可が必要である。
叉生徒のために幼稚科を出るとすぐ踵の高い靴を穿く習慣をつける事も
賢い方法である。
研究科
クヰック・ステッブ−−ー上級と同様。之にリヴァース・ビヴォット、
      ブラドレイ・ドラッグ及び他のスマートなヴァリェイションを加える。
ワルツー−−上級と同様。之にヘジティション・チェンジと
         ダブルリヴアース・スビンを加える。
スロウ・フッオクス・トロツト−−ー上級と同様。之にスタンダード・
        ヴァリェイション(リヴァース及びリヴァrス・ウェイヴを含む)
        を加える。
タンゴー−−ウオーク→プログレシーヴ・サイド・ステップ→
        プロムナードー−−クローズド・リヴアース・ターシ及び
         オ一プン・リウアースターン−−ーロックーーバック・コルテ。
ニュー・ダンス或はプルース−−ー随意。
上述の要領は学校に於ける普通のクラスに適用されるものであ
って、わずか二十分ばかりがボール・ルームに当てられている場
合である。然し社交ダンス專門のクラスでは、もっと時間をかけ、
課業も大人のアマチュアのクラスと同様の程度に増加する事が
出來る。
第四章
クラス
(A)概説       (B)專門家
(C)アマチユア     (D)児童
(A)概説(原文)
上手に個人教授をする事も難しいには違ひないが、クラスを教
へる事は叉一入の困難を伴ふものである。クラスではどの教師も
あらゆる異つたタイプの生徒を巧くクラスに編成し、そのクラス
を幸幅に皆が満足するやうにする爲めにはあらゆる智慧を絞つて
も足りない位である。どのクラスでも成功の秘訣は、一言にして
いふならぱ、クラスが幸幅で氣持よく行くといふことにつきる。
これには二つの意味がある。第一にクラスは全体がその進行に対
して、満足してゐなければならないし、第二には各個人個人が自
分自身エンジヨイしてゐなげればならない。然しこれはクラス全
体の進歩といふものが、生徒の才能の平均によつて制限されるも
のであるから、一寸到達するに難しい間題かもしれない。教師
は遅れ勝ちの生徒が、焦慮してもがかないやうに、出來のよいのが、
損をしてゐる、と躁しく感じないやうに注意することが必要であ
る。
教師としてクラスを作らずとも成功を得る事は不可能な事では
ない。然し、多くの弟子はプライベイト(個人教授)よりクラス
の方を好むから所長としてはこれを教授所のプログラムから削除
する事の出來る人はないであらう。叉自己満足の点から考へても、
クラスが漸次に進歩して行つて、殆ど独りでに上達して行くのを
見る事程嬉しく満足感を味へる事は無いのであるから。次に掲げ
るのはクラスを教へる上に於て遵奉すべき範則の摘要である。
(1) 貴方の助手に(もしあつたら)お弟子を賞める場合以外決
   して大聲で批評する事を許しては不可い。
(2) 助手達が傍で立つて見てゐる時、一團にかたまつて恰も比
   評でもしてゐるやうに思はれないやうに注意する事。
(3)ボール・ルームの鏡は、苦い表情を逃さず写し出すものだ
   といふ事を忘れてはならない。
(4).不良パアトナーを入れるべからす。
(5)誰にでも一晩中一人の下手なパァトナーとのみ踊らせない
   やうにする事。
(6)白分が演る時間をあまり長くとらない事。
(7) 生徒が会得し得ないやうな難しい複雑なステツプを教へて
   物識りぶらない事。
(8)依古ひいきをしない事。
(9).何よりも先づ貴方白身を笑ふ時以外あまりユーモアの気分
   を表し過ぎては不可い。笑談はよろしい、然し生徒に対しては
   禁物である。
クラスの実際授業に対する注意
(a).「スクウェア」法によつて最初教へなさい。生徒にはその
   方が容易く思はれるから。
(b).一クラスに男女同数居るならば、ステツプは男は男の、女
   は女のと別々に教へなさい。然しもし、よくあるやうに、女子
   の方が多かつた場合には先づ男子のステツプをクラス全体に教
   へ次に女子のみに女子のステツプを教へなさい。もし誰か「男」
   になつて踊らねばならぬ婦人が居たら休憩毎にその組を作つて
   やるやうにしなければならない。
(C).クラス全体に各ステツプを最初は一人で、次にバアトナー
   同志手を肩にかげて、然る後に正しくホールドして教へる事。
(d).はじめ音樂無しで教へ、次にのろいミュージツクにし、次
   に初めて正しいテムポのミュージツクにする。一人で踊つてゐ
   る生徒に貴方がステツプを教へる時でも、生徒がパアトナーと
   踊つてゐる時でもこれを適用なさい。
(e).貴方のステヅプ教授法を前述の第二部第一章〔37-40頁〕
   に於て略示した順序に分割して下さい。
(f).第二期になるまでスウェイやライズの心配をしなくともよ
   ろしい。叉あまりC.B.M.を重大視しては不可い。唯単にターン
   をする場合、足でするのではなく、身体全体で始めるべきだと
   いふ事を説明すればよろしい。
(9).アマルガメイションの幾組かに基づいてプログラムを立案
   して下さい。それぞれのステツプのみでは到底如何なる人
   もダンスすることを習得する事は出來ない。叉生徒達にも自分
   自身で自分のアマルガメイシヨンを編成する事を学ぶべきであ
   ると説明なさい。
(h).バランスは一番大切であるけれども、クラスが余りにこれ
   に煩はされないやうにしないと不可い。これは極めて巧みに殆
   ど生徒の氣付かない中に教へられなげればならぬ。もし一人の
   生徒のバランスが非常に悪かつた場合は、その人だけに少しば
   かり特別教授を興へることをお勤めする。
(i).多くの場合クラスは十課連続になつてゐる。第一課が終了
   したら、残りの九課に於て何程を教ふべきかを決定するやうに
   する。然し一つのダンスを正確に教へ込む方が中途半端に五つ
   教へるより遙か優つてゐるのであるから、これを決定するには
   慎重に控え目にする事。
(j).ステツプを教へた順序を正確に覚えてゐる事、さうすると
   次の學期に楽である。
(k)。パァトナーをつとめる貴方の助手と生徒とが一番よく合ふ
   やうに引合せ、一人一人の生徒が個々に行届いた注意を受ける
   事が出來るやうに注意する事。
(1).自分の仕事を徹頭徹尾辮へ、職員達がよく心得てゐる一定
  の既定法式(ルーチン)に從つたデモンストレイションのみ行ふこと。
(m).時には生徒の中から一人を指名してステツプを演らせると
   よい。それは生徒を一寸得意にし、他の生徒にもステツプは自
   分でも踊れるものである事を示すものである。、
(n).少しダンスを行つてはクラスをはじめるやうになさい。さ
   うすると生徒は床と音樂の感じをとらへる事が出來るから。
(o).時間を違ヘずに授業をはじめ、また毎日のプログラムが終
   に行つて大急ぎに慌てて教へないで濟み、全部行渡るやうにす
   る事。
(B)事門家のクラス
ー般に教師は流行を知らうとし、時勢に後れないために勉強す
るのであつて、これらのクラスは多くの場合・・Teachers Week"
即ち、五科目を五日聞に仕上げる「教師週間」に教授される
のである。
教師週間の五日間の爲に最も適當なるプログラムは下の通りで
ある。
第一日  三十分、フオクス・トロツトのシラバス(教授要目);
      一時間・フオクス・トロツトのヴアリエイシヨン;三
      十分、クラツシユ・ダンスの基本ステツプ。
第二日  三十分、タンゴのシラバス;一時聞、タンゴのヴアリ
       ェイション;三十分、クラツシュのヴアリェイションo
第三目 三十分、クヰツク・ステツプのシラバス;一時聞半、
      クラツシユを含むクヰツク・'ステツプのヴアリエイシ
      ヨン。
第四回  三十分・ワルツのシラバス;一時間、ワルツのヴアリ
      エ.イシヨン;三十分ブルース。
第五回  残りの二時間は來るべきシーズンのための新しいダン
      スと何か最近の変化について使用せらるぺきであるo
各ダンスを教へるのに新しいフイガや、ヴアリエイシヨンに進.
む前にざつとでよいからスタンダードな基本ステツプの復習を以
て始めるのが最上の方法である。多くの教師はノートをとる時間
を興へられるのを喜ぶ。故に重要な点に特に力を入れる事はステ
ヅプの簡単な説明を書取る時が便利である。斯かるクラスでは助
手は.白分達より遙か多くの経験を持つてゐるに違ひない教師を
教へる手助けをしてゐるのであるから.巧みに人の氣をそらさず
充分に彼等の役に立つやうにし、彼等が自分達より先輩である事
を忘れないやうに教へ込んで置かなげれぱ不可い。
此の教師週間の課業のプログラムは充分に教師達の希望に添ふ
ものたるべき注意の下に選択されねばならぬ。
(C)アマチユアのクラス
次の注意書は第一期の課業にのみ適用されるものであつて、第
二期にはもつと進んたヴアリエイシヨンを.充分進歩を途げた生
徒に教へてもよい。
クラスを十科の連続に割当てて下さい。有益で効果ある時間割
を次に示すと:一
一般ダンス            五分間
クヰツク・ステツプ      十五分間
ワルツ              十分間
ニユゥ・ダンス或はブルース  同
ダンゴ                同
スロウ・フオクス・トロツト    同
多くの教師は一時間の授業の後はダンスを続けられるやうに準
備するものであるが、もし不可能の場合は、そのクラスのために、
一時間以上を許し、授業と授業の合間に一般ダンスをさせる事。
十課の中の第一期に於ては次のもののみを教へる事を目的とする
事、即ち第一期に於ては、一般的の進歩を目標とするのが得策で
ある。斯くする時はこのクラスはもつと目覚ましいヴアリエイシ
ョンやライズやスウェイ等々を教へる事の出來る第二期のために
すぐれた基礎をつくる事が出來るだらう。(注意一スロウ・フオ
クス・トロツトは他のものよりも專門的なダンスであるから、最
初から詳細に亙つてライズ等も教へた方が賢明な方法である。)
クヰツク・ステツブ−−クォーター・ターンズ−−ナチュラル・
ピヴオツト・ターン−−クロス・シヤツセ−−リヴアース・タ
,ンーージグ・ザグ。
ワルツ−−ダイアゴナル・フル・ターン−−ハーフ・ターン−−
サイド・チエンヂ−−バツク・パツシング・チエンヂ−−アウ
トサイド・チェンヂー普通のヘジテイション。
ニユウ・ダンス−−ー(或はプルース)
タンゴー・アマルガメイション;左足よりはじめ−−一ウォークニ
歩一プログレシーヴ・サイド・ステヅプ−−ーウオークー歩−−一
オープン・リヴアース・ターンの前半−−一一歩後退一ロツク
ー一オープン・フイニツシュー−−一歩前進一−−普通のプロムナ
ード−−ー左足前進・右足を合せる一−−もしコーナーならばライ
ト・ターン
スロウ・フオクス・トロツト  フエザ,一−−スリーステツプ
から「続けて」ナチユラル・オーブン・ターンに入るもの。
及びフエザーから「続けて」リヴアース・ウエイヴ、そして
コーナーでオープン・ターンに入るアマルガメイシヨン。
どのクラスでも次の稽古に進み、新しいものを附げ加へる前
に、前の所を簡単に復習する事。第十課(最後)にはライズとかス
ウエイは何を意味するかを演つて見せるがよろしい。そして目覚
ましいヴアリエイシヨンも二三見せる事。もし第二期に続けて進
むやうだつたら、新入生を仲聞に入れないやうにする。然しもし
さういふ新しい人が出席しなければならない場合には出來得る限
り早く特別教授をして早く追いつくやうにしなげればならぬ。
(D)児童のクラス
次に個人教授及び學校若しくは宗教学校(COnVentS)の授業に
於げる子洪のためのクラスに就いて述べよう。
これには重要なる一つの記憶すべき掟がある。即ち「肉体的及
び知能的に制限されてゐる以上の無理な事を子供に試みさせる可
からず」。好成績を挙げ得る子供のクラスをつくるに極めて重要な
二つの要素がある。(1)両観の氣をそらさぬ世才、(2)子供
好き。第一は自から説明がつく、第二は何故といふに、子供とい
ふものは非常に感受性が強いから子供を好きな人と嫌ひな人をす
ぐに見別けるものである。故にもし子供が先生を好いたならば効
果も早く、よい結果を得られるであらうし、叉クラスの秩序を保
ち生徒の興味を繋ぐ事も出來るであらう。
記憶すぺきもう一つの点は子供は一般に模倣によつて覚えるも
のであるから、特に正しく演つて見せる必要がある事である。一
寸した不注意の間違ひでも直ぐにクラス全体にそのまま覚えられ
てしまふ。子供のための授業は長くしては不可い。年齢の少けれ
ば少い程時間を短くしなげればならない。
クラスを樂しいものにし、叉変化に富んだものにする事が肝要
である。次に掲げたのは子供のクラスの四学級を教へる爲の實際
授業の要領である(注意−一子供の授業の目的は踊手になる事で
はなく寧ろムーヴメントの優美さと、よいスクイルとの涵養に
ある。
幼稚科
ポルカ
クヰツク・ステツプ−−ーウォーク、クォーター・ターンズ及びラ
   イト・ビヴオツト・ターン(注意一プル・ステヅプが難しい
   ため、ライト・ターンよりライト・ピヴオツト・ターンの方が
   易しいからである。それに幼稚者はダンシング・サンダルの踵
   を使つてはいけない。)
ワルツ−−−ニつのサイド・チエンヂとライト・フル・ターン。
中級科
クヰツク・ステツブ−−ークオーター・ターンズ、−一ライト・ピ
   ヴオツト・ターン−−リヴアース・夕ーンークロス・シヤツセ。
ワルツー−−フル・ナチュラル・夕ーンーフル・リヴアース・タ
   ーンを前進のサイド・チエンヂによつて連結する。一チエン
   ヂによつて連結されたハーフ・ナチユラル及びリヴアース・タ
   ーン。
上級科
クヰツク・ステツプー一一中級と同様。但しこれに普通のジグ・ザ
   グ並びにクロシング・フイニツシュで行ふジグ・ザグ及びクロ
   ス・ビハインド・ステツプを加へる。
ワルツ−−ー中級と同じものにナチユラル・スピン・ターン及びア
   ウトサイド・チエンヂとヘジテイシヨンを加へる。
スロウ・フオクス・トロツトーフエザ−−右足の前進スリ
   ー・ステツプから「続けて」ライト・オープン・ターンヘ入る。
タンゴ−−一特に要求された場合のみに、然も研究科(Finishing
C1ass」としてのみに限る(下記参照)。(注意一多くの學校は、
特に宗致學校では、タンゴは特種なものと考へられてゐる。ク
ラスに入れる前に校長の許可が必要である。叉生徒のために幼
稚科を出るとすぐ踵の高い靴を穿く習慣をつける事も賢い方法
である。
研究科
クヰツク・ステツブ−−ー上級と同様。之にリヴァース・ビヴォツ
   ト、ブラドレイ・ドラッグ及び他のスマートなヴァリェイショ
   ンを加へる。
ワルツー−−上級と同様。之にヘジテイション・チェンヂとダブル
   リヴアース・スビンを加ふ。
スロウ・フオクス・トロツト−−ー上級と同様。之にスタンダード・
   ヴァリェイション(リヴァース及びリヴァrス・ウェイヴを含
   む)を加へる。
タンゴー−−ウオーク−−ープログレシーヴ・サイド・ステツプー
   プロムナードー−−クローズド・リヴアース・ターシ及びオ一プ
   ン・リウアースターン−−ーロツクーーバツク・コルテ。
ニユウ・ダンス或はプルース−−ー随意。
上述の要領は学校に於ける普通のクラスに適用されるものであ
つて、わづか二十分ばかりがボール・ルームに富てられてゐる場
合である。然し社交ダンス專門のクラスでは、もつと時間をかけ、
課業も大人のアマチユアのクラスと略同様の程度に増加する事が
出來る。

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